【完全版】注文住宅の流れ全8ステップ!期間・費用・土地探しを解説

「いつかは自分たちの理想を詰め込んだ注文住宅を建てたい」
そう考え始めたものの、何から手をつけて良いのか、どれくらいの期間や費用がかかるのか、具体的な流れがわからず不安を感じていませんか?
家づくりは、多くの人にとって一生に一度の大きなプロジェクトです。だからこそ、失敗したくないと思うのは当然のこと。
この記事では、そんな家づくり初心者の方に向けて、注文住宅の計画開始から完成・引き渡しまでの全ステップを、期間や費用、土地探しのポイントも交えながら、誰にでも分かりやすく解説します。
この記事を読めば、家づくりの全体像が明確になり、今すぐやるべきことが見えてきます。理想のマイホーム実現に向けた第一歩を、ここから踏み出しましょう。
この記事の目次
注文住宅の流れと期間の全体像
まずはじめに、注文住宅を建てるための全体的な流れと、完成までにかかる期間の目安を把握しておきましょう。この全体像を知るだけで、家づくりの見通しが立ち、漠然とした不安が解消されます。
家が建つまでの平均期間は12ヶ月〜18ヶ月
注文住宅が完成し、入居できるまでの期間は、一般的に12ヶ月〜18ヶ月程度です。
ただし、これはあくまで目安であり、土地探しの状況や設計のこだわり、建築会社のスケジュールによって大きく変動します。
- 土地探しから始める場合
約12ヶ月~24ヶ月以上。希望の土地がすぐに見つかるかどうかが、全体の期間を左右します。 - すでに土地がある場合
約10ヶ月~15ヶ月。土地探しがない分、スムーズに進められます。
家づくりは長期戦になるため、スケジュールには余裕を持って計画を進めることが重要です。
家づくりの全工程フローチャート
注文住宅の家づくりは、大きく分けて「準備・計画」「設計・契約」「建築工事」「完成・引渡し」の4つのフェーズに分かれます。各ステップの概要は以下の通りです。
- 【準備・計画】(2~6ヶ月)
- 理想の暮らしをイメージする
- 資金計画を立てる
- 建築会社(ハウスメーカー・工務店)を探し、比較検討する
- 【設計・契約】(3~6ヶ月)
- 土地を探し、決定する(土地なしの場合)
- 建築会社にプランと見積もりを依頼する
- 間取りや仕様を詳細に決定する
- 各種契約(土地売買、工事請負、住宅ローン)を結ぶ
- 【建築工事】(4~6ヶ月)
- 地鎮祭、着工
- 基礎工事、上棟
- 内外装工事
- 【完成・引渡し】(1ヶ月)
- 竣工、施主検査(内覧会)
- 残金決済、登記手続き
- 鍵の引き渡し、入居
この流れを頭に入れておくだけで、自分が今どの段階にいるのかを把握しやすくなります。
土地の有無による流れの違い
家づくりの進め方は、土地を持っているか(土地あり)持っていないか(土地なし)で大きく異なります。
- 土地ありの場合
土地の条件(広さ、形状、法規制など)に合わせて、建築プランを具体的に進めることができます。建築会社選びと設計プランの検討からスタートします。 - 土地なしの場合
土地探しと建築会社選びを並行して進めるのが一般的です。なぜなら、土地によって建てられる家の大きさやデザインが制限されるため、建築のプロである建築会社に相談しながら土地を探す方が失敗が少ないからです。
土地なしの場合は、土地探しという大きなステップが加わるため、その分時間と労力がかかります。
STEP1:準備・計画から会社選びまで
ここからは、注文住宅の具体的な流れを8つのステップに分けて詳しく見ていきましょう。最初のステップは、家づくりの土台となる最も重要な準備期間です。
理想の家と暮らしのイメージ作り
最初にやるべきことは、家族で「どんな家に住み、どんな暮らしがしたいか」を話し合うことです。このイメージが具体的であるほど、その後の家づくりがスムーズに進みます。
- 現在の住まいの良い点・不満な点
「収納が少ない」「キッチンが狭い」といった不満点を書き出すことで、新しい家に求めるものが見えてきます。 - 新しい家で実現したいこと
「広いリビングで家族団らんしたい」「趣味の部屋が欲しい」「庭でバーベキューがしたい」など、夢を膨らませましょう。 - 将来のライフプラン
子どもの成長や独立、親との同居の可能性など、10年後、20年後を見据えた計画も大切です。 - デザインの好み
インターネットや雑誌で好きな家のデザインやインテリアの写真を集めておくと、建築会社にイメージを伝えやすくなります。
この段階では、予算を気にせず自由に理想を出し合うことがポイントです。
資金計画と予算シミュレーション
理想のイメージがある程度固まったら、次に家づくりにかけられる総予算を把握するための資金計画を立てます。
家づくりの総予算は、以下の式で計算できます。
総予算 = 自己資金 + 住宅ローンの借入可能額
- 自己資金
貯蓄のうち、頭金や諸費用としていくら出せるかを決めます。生活費や将来のための貯蓄は残しておくようにしましょう。 - 住宅ローンの借入可能額
金融機関のウェブサイトにあるシミュレーターを使えば、年収や現在の借入状況からおおよその借入額を把握できます。
また、家づくりには建物本体の工事費以外に「付帯工事費」や「諸費用」がかかることを忘れてはいけません。一般的に、総予算のうち20%~30%が諸費用等にあたると言われています。
ハウスメーカー・工務店の比較検討
資金計画と並行して、家づくりのパートナーとなる建築会社探しを始めましょう。依頼先は主に以下の3つに分けられます。
- ハウスメーカー
全国展開している大手企業が多く、品質が安定しており、保証も手厚いのが特徴です。商品ラインナップが豊富で、提案力にも優れています。 - 工務店
地域に密着した会社が多く、設計の自由度が高い傾向にあります。社長や担当者との距離が近く、柔軟な対応が期待できます。 - 設計事務所
デザイン性に優れた、唯一無二の家を建てたい場合におすすめです。設計と工事監理を専門に行い、施工は工務店に依頼します。
情報収集の方法としては、以下のようなものがあります。
- 総合住宅展示場への訪問
- 完成見学会や構造見学会への参加
- インターネットでの情報収集や資料請求
- 知人からの紹介
まずは複数の会社から資料を取り寄せ、自分たちのイメージに合う会社を2~3社に絞り込むことから始めましょう。
STEP2:土地探しと設計プランの確定
建築会社の候補が絞れてきたら、いよいよ具体的なプランニングの段階に入ります。土地がない場合は、土地探しも本格化させます。
土地探しの進め方(土地なしの場合)
土地探しは、建築会社の候補と相談しながら進めるのが最も効率的で安心です。建築のプロの視点から、その土地に希望の家が建てられるか、追加で費用がかからないかなどをチェックしてもらえます。
土地探しの主な方法
- 不動産会社に依頼する
地域の土地情報に精通しています。希望のエリアや条件を伝えて探してもらいましょう。 - 建築会社に紹介してもらう
ハウスメーカーや工務店は、独自の土地情報を持っていることがあります。建物とセットで提案してくれる場合も多いです。 - インターネットで探す
不動産情報サイトで、自分で希望のエリアの土地を探すことができます。
土地を検討する際は、価格や広さだけでなく、用途地域などの法規制、日当たり、周辺環境、インフラ(水道・ガス)の整備状況などを必ず確認しましょう。
建築会社へプラン・見積もり依頼
土地が決まったら(または土地の候補が絞れたら)、候補の建築会社に具体的な設計プランと見積もりを依頼します。この時、STEP1でまとめた理想のイメージや要望をしっかりと伝えましょう。
複数の会社からプランと見積もり(相見積もり)を取ることで、各社の提案力や設計力、費用感を比較検討できます。提示されたプランが要望をどれだけ満たしているか、見積もりの内容が詳細で分かりやすいかなどをチェックし、最も信頼できる1社を選びます。
間取り・デザイン・仕様の詳細決定
建築会社を1社に決めたら、契約に向けて間取りやデザイン、内外装、住宅設備などの詳細な仕様を決めていきます。ここは注文住宅の醍醐味であり、最も楽しい時間ですが、決めることが非常に多いため時間もかかります。
- 間取り
部屋の配置、広さ、動線、収納計画などを確定します。 - 外観・外装
屋根の形や外壁の素材、色、窓の配置などを決めます。 - 内装
床材、壁紙、建具(ドアなど)の色や素材を選びます。 - 住宅設備
キッチン、お風呂、トイレなどのメーカーやグレードを決定します。 - その他
コンセントやスイッチの位置、照明計画なども細かく決めていきます。
この打ち合わせで決まった内容が、最終的な見積もりと設計図に反映されます。後から変更すると追加費用が発生する場合があるため、納得いくまでしっかり話し合いましょう。
STEP3:各種契約の手続き
設計プランと見積もりがすべて確定したら、いよいよ契約です。ここからは法律やお金が関わる重要な手続きが続きます。内容をしっかり理解した上で進めましょう。
土地の売買契約(土地なしの場合)
購入する土地が決まったら、不動産会社を介して土地の売主と売買契約を締結します。契約時には、宅地建物取引士から「重要事項説明」を受けます。土地に関する法的な権利関係や規制について説明されるので、不明な点は必ず質問しましょう。
契約時には、一般的に土地価格の5%~10%程度の手付金を現金で支払います。
建築工事請負契約の締結
建物のプランと金額が最終的に確定したら、建築会社と建築工事請負契約を結びます。この契約によって、正式に工事が発注されます。
契約書には、工事内容、請負代金の額、支払い方法、工事期間、引き渡し時期などが明記されています。契約書と合わせて「設計図書」や「仕様書」「見積書」なども渡されるので、打ち合わせ通りの内容になっているか隅々まで確認しましょう。
住宅ローンの本審査と契約
建築工事請負契約を結んだら、金融機関に住宅ローンの本審査を申し込みます。通常、建築会社選びと並行して事前審査(仮審査)を受けておき、このタイミングで本審査に進みます。
本審査では、申込者の返済能力や健康状態、購入する土地・建物の担保価値などが厳しく審査されます。審査が無事に承認されれば、金融機関と金銭消費貸借契約(住宅ローン契約)を結びます。
STEP4:着工から完成・引き渡しまで
すべての契約が完了すると、いよいよ夢のマイホームが形になっていく建築工事のフェーズに入ります。
着工から上棟までの流れと期間
工事を始めることを「着工」といいます。着工前には、工事の安全を祈願する「地鎮祭」を行うのが一般的です。
- 地盤調査・改良工事
必要に応じて地盤を補強する工事を行います。 - 基礎工事
建物の土台となる、鉄筋コンクリートの基礎を造る工事です。 - 上棟(じょうとう)
建物の骨組みを一日で一気に組み上げ、屋根の最も高い部分にある部材(棟木)を取り付けます。この段階で、家の形がはっきりと見えてきます。上棟後には「上棟式」を行うこともあります。
着工から上棟までの期間は、約1~2ヶ月が目安です。
竣工と施主検査(内覧会)
上棟後は、屋根工事、外壁工事、内装工事、設備工事などが進められ、すべての工事が完了すると「竣工(しゅんこう)」となります。
建物が完成したら、引き渡し前に、施主(建築主)が建物の状態をチェックする「施主検査(内覧会)」が行われます。設計図や仕様書通りに仕上がっているか、傷や汚れ、不具合がないかを自分の目で厳しく確認する非常に重要な機会です。
チェックリストを事前に用意し、家族や可能であれば第三者の専門家と一緒に確認することをおすすめします。もし修正してほしい点が見つかれば、その場で担当者に伝え、引き渡しまでに補修してもらいます。
残金決済・登記・引き渡し
施主検査で問題がなければ、いよいよ最終ステップです。
- 残金決済
建物の最終代金(残金)を建築会社に支払います。このタイミングで住宅ローンが実行され、自己資金と合わせて支払うのが一般的です。 - 登記手続き
建物の所有権を法的に明確にするため、司法書士に依頼して登記手続き(建物表題登記、所有権保存登記、抵当権設定登記)を行います。 - 引き渡し
すべての支払いや手続きが完了すると、建築会社から鍵や保証書などを受け取り、正式にマイホームの「引き渡し」となります。
これで、長かった注文住宅の全工程が完了です。
注文住宅のお金と住宅ローンの流れ
家づくりにおいて、お金の流れを把握しておくことは非常に重要です。どのタイミングで、どのような費用が必要になるのかを解説します。
支払いタイミング別の費用内訳
注文住宅の費用は、一度に全額支払うわけではなく、工事の進捗に合わせて分割で支払うのが一般的です。
- 契約時
- 土地の手付金(土地価格の5~10%)
- 工事請負契約の契約金(工事費の10%程度)
- 着工時
- 工事着工金(工事費の30%程度)
- 上棟時
- 工事中間金(工事費の30%程度)
- 引き渡し時
- 土地の残代金
- 工事費の残代金(工事費の30%程度)
- 諸費用(登記費用、火災保険料、ローン手数料など)
支払い回数や割合は建築会社によって異なるため、工事請負契約時に必ず確認しましょう。
住宅ローン申込から融資実行の手順
住宅ローンは、「事前審査」→「本審査」→「契約」→「融資実行」という流れで進みます。
重要なのは、住宅ローンの融資が実行される(お金が振り込まれる)のは、原則として建物が完成し、引き渡しを受ける時だという点です。
しかし、前述の通り、土地の代金や工事の着工金・中間金は引き渡し前に支払う必要があります。この時に利用されるのが「つなぎ融資」です。つなぎ融資とは、住宅ローンが実行されるまでの間、一時的に必要な資金を立て替えてくれるローンのことです。
自己資金が必要なタイミングと金額
住宅ローンを利用する場合でも、現金(自己資金)が必要になる場面がいくつかあります。
- 申込証拠金(約10万円)
建築会社にプラン作成を正式に依頼する際に支払う費用。契約すれば工事費に充当されることが多いです。 - 土地や建物の手付金・契約金
土地価格や工事費の5%~10%程度が目安です。 - 各種諸費用
印紙税、登記費用、ローン手数料、火災保険料、不動産取得税など、現金での支払いが必要な費用があります。
諸費用の合計は、物件価格の5%~10%程度を見ておくと安心です。いざという時に慌てないよう、早めに準備しておきましょう。
注文住宅の進め方に関するQ&A
最後に、注文住宅の進め方に関して、初心者の方が抱きがちな疑問にお答えします。
打ち合わせの平均回数と期間は?
建築会社との打ち合わせは、契約までに10回前後、契約後に10回前後、合計で20回程度行うのが一般的です。期間としては、3ヶ月~6ヶ月ほどかかります。特に、間取りや仕様を決める段階では、毎週のように打ち合わせが行われることもあります。納得のいく家づくりのためには、時間と労力を惜しまないことが大切です。
注文住宅で失敗しないためのコツは?
注文住宅で失敗しないためには、いくつかの重要なコツがあります。
- 優先順位を決める
予算には限りがあります。家族で「絶対に譲れないこと」と「妥協できること」の優先順位を明確にしておきましょう。 - スケジュールに余裕を持つ
家づくりは天候や手続きの遅れなど、予期せぬことでスケジュールが遅れることがあります。入居希望時期から逆算し、余裕を持った計画を立てましょう。 - 情報収集を怠らない
複数の建築会社を比較したり、完成見学会に足を運んだりして、知識を深めることが後悔しないための鍵です。 - コミュニケーションを密にする
担当者との相性は非常に重要です。疑問や不安はすぐに相談し、密にコミュニケーションを取れる信頼関係を築きましょう。
家が建つまでの平均期間は?
改めて、家が建つまでの平均期間は、土地探しから始める場合は約12ヶ月~24ヶ月、土地がある場合は約10ヶ月~15ヶ月が目安です。土地探しや設計にどれだけ時間をかけるかで、全体の期間は大きく変わります。
まとめ
今回は、注文住宅の計画から完成までの流れを、期間や費用、土地探しのポイントと合わせて詳しく解説しました。
注文住宅の家づくりは、平均で1年~1年半かかる壮大なプロジェクトです。やるべきことが多く、複雑に感じるかもしれませんが、全体の流れを把握し、一つひとつのステップを丁寧に進めていけば、必ず理想のマイホームを実現できます。
この記事が、あなたの家づくりの第一歩を踏み出すための、頼れるロードマップとなれば幸いです。まずは家族で理想の暮らしについて話し合うことから、始めてみてはいかがでしょうか。
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豊栄建設家づくり編集部
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