注文住宅のデメリット11選!後悔しない対策と建売との違い

「いつかは自分たちの理想を詰め込んだマイホームを建てたい」
注文住宅に、そんな夢を抱いている方も多いのではないでしょうか。しかし、その一方で「費用が高そう」「何から始めたらいいかわからない」といった不安から、一歩踏み出せずにいる方も少なくありません。
特に、家づくりで最も避けたいのは「建ててから後悔すること」です。
この記事では、注文住宅を検討し始めたばかりのあなたへ向けて、専門家の視点から以下の内容を分かりやすく解説します。
- 注文住宅で後悔しがちなデメリット
- デメリットを回避し、失敗を防ぐための具体的な対策
- 建売住宅との違いと比較ポイント
- 注文住宅のメリットと向いている人の特徴
この記事を最後まで読めば、注文住宅の全体像を正しく理解し、あなたとご家族にとって最適な選択をするための知識が身につきます。後悔しない家づくりの第一歩を、ここから始めましょう。
この記事の目次
注文住宅と建売住宅の5つの違いを比較
注文住宅のデメリットを理解する前に、まずはよく比較される「建売住宅」との違いを把握しておくことが重要です。両者の特徴を5つのポイントで比較してみましょう。
費用総額と内訳
注文住宅は建売住宅に比べて費用が高くなる傾向があり、予算管理が難しいのが特徴です。
- 注文住宅
土地と建物を別々に購入し、設計や仕様を自由に決めるため、こだわればこだわるほど費用は上がります。本体工事費の他に、屋外の給排水工事などの「別途工事費」や、税金・登記費用などの「諸費用」が複雑で、総額が見えにくいという側面があります。 - 建売住宅
土地と建物がセットで販売されるため、販売価格が総額として明確です。すでに完成しているため、追加のオプション費用などが発生しにくく、資金計画が立てやすいのが大きなメリットです。
設計・間取りの自由度
設計の自由度は、注文住宅が圧倒的に高いです。
- 注文住宅
間取り、デザイン、内装、外観、キッチンやお風呂の設備まで、法律の許す範囲でほぼすべてを自由に決められます。家族のライフスタイルや趣味に合わせて、世界に一つだけの家づくりが可能です。 - 建売住宅
すでに完成しているか、設計が決まっているため、間取りやデザインの変更は基本的にできません。万人受けする標準的な設計になっていることが多く、個性を出すのは難しいでしょう。
入居までの期間
すぐに入居したい場合は建売住宅、時間をかけてもこだわりたい場合は注文住宅が向いています。
- 注文住宅
土地探しから始め、設計の打ち合わせ、建築工事とステップが多いため、入居までに1年〜1年半ほどかかるのが一般的です。 - 建売住宅
すでに完成している物件であれば、契約から最短1〜2ヶ月で入居可能です。建築中の物件でも、数ヶ月で完成する場合がほとんどです。
土地の選択肢
土地にこだわりたいなら、注文住宅の方が選択肢は豊富です。
- 注文住宅
自分たちで好きな土地を探して購入できます。エリア、広さ、周辺環境、学区など、希望の条件に合った土地を選べるのがメリットです。ただし、土地探しは時間と労力がかかります。 - 建売住宅
土地と建物がセットになっているため、土地を自由に選ぶことはできません。立地を最優先に考えたい場合、希望のエリアに好みの建売住宅がない可能性もあります。
品質の安定性と確認方法
品質の確認方法が両者で大きく異なります。
- 注文住宅
設計段階から関わり、建築現場に足を運んで工事の進捗や構造を確認できます。どのような建材が使われ、どのように建てられているかを自分の目で確かめられる安心感があります。ただし、施工会社の技術力によって品質が左右される可能性があります。 - 建売住宅
完成した状態で販売されるため、壁の中の構造や基礎部分などを直接見ることはできません。一方で、大手ハウスメーカーなどが手掛ける分譲地では、安定した品質の住宅が供給される傾向にあります。日当たりや風通しなど、実際の住み心地を体感してから購入を決められるのがメリットです。
注文住宅で後悔しがちな5大デメリット
自由な家づくりができる注文住宅ですが、その自由度の高さゆえに後悔につながるケースも少なくありません。ここでは、特に注意したい5つのデメリットとその具体例を紹介します。
予算オーバーと想定外の諸費用
最も多い後悔が、お金に関する問題です。当初の予算を大幅に超えてしまうケースは後を絶ちません。
- 原因1:オプションの追加
打ち合わせを進める中で、よりグレードの高いキッチンや床材、おしゃれな壁紙などに目移りし、気づけばオプション費用が数十万〜数百万円に膨れ上がることがあります。 - 原因2:諸費用の見落とし
住宅の価格以外にかかる「諸費用」を甘く見積もっているケースです。登記費用、住宅ローン手数料、火災保険料、不動産取得税など、物件価格の7%〜10%程度が別途必要になります。 - 原因3:地盤改良工事
購入した土地の地盤が弱い場合、追加で地盤改良工事が必要になり、数十万〜100万円以上の想定外の費用が発生することがあります。
長い工期と打ち合わせの手間
理想の家を形にするプロセスは、想像以上に時間と労力がかかります。
- 打ち合わせの多さ
間取りや仕様を決めるため、設計士やコーディネーターと平均10回〜20回以上の打ち合わせを行います。共働きで忙しい夫婦の場合、休日のほとんどが打ち合わせで潰れてしまうことも。 - 決めることの膨大さ
屋根の形から壁紙の色、コンセントの位置や数まで、決断すべき項目は数百に及びます。選択肢が多すぎて決められなくなり、家づくりがストレスになってしまう方も少なくありません。 - 工期の遅延
天候不順や資材の納期遅れ、設計変更などにより、予定していた工期が延びることもあります。現在の住まいの家賃や、お子さんの入学時期など、ライフプランに影響が出る可能性も考慮しておく必要があります。
間取り・コンセント位置など設計の失敗
住み始めてから「こうすればよかった…」と後悔しやすいのが、間取りや設備に関する設計ミスです。
- 生活動線の失敗
「洗濯機から物干し場までが遠い」「帰宅後の手洗い・うがいがしにくい」など、日々の家事や生活の流れを考慮していなかったために不便を感じるケースです。 - 収納の不足・配置ミス
収納は広さだけでなく、「どこに」「何を」収納するかが重要です。掃除機をしまう場所がなかったり、玄関の収納が足りず靴が出しっぱなしになったりする後悔はよく聞かれます。 - コンセント・スイッチの位置
「ここにコンセントがあれば…」「この照明のスイッチが遠い」といった不満は、生活の小さなストレスに繋がります。家具の配置を考えずに決めると、コンセントが隠れて使えなくなることもあります。
完成イメージとのギャップ
図面やCGパースで完璧だと思ったのに、実際に完成した家を見て「何か違う…」と感じてしまうケースです。
- スケール感の違い
図面上で広く見えた部屋が、家具を置くと意外と狭く感じたり、天井が低く感じたりすることがあります。 - 日当たりや風通し
図面だけでは、日当たりや風通し、外からの視線などを正確に把握するのは困難です。隣の家の窓と位置がかぶってしまい、カーテンを開けられないといった失敗も。 - 素材感や色の違い
小さなサンプルで選んだ壁紙や床材が、広い面積になると印象が大きく変わることがあります。「思ったより色が派手だった」「安っぽく見えてしまう」といった後悔です。
土地探しと住宅会社選びの難航
家づくりの最初のステップである土地探しとパートナー選びでつまずいてしまうことも、大きなデメリットです。
- 希望の土地が見つからない
「駅近で、日当たりが良く、広い土地」といった好条件の土地は人気が高く、すぐに売れてしまいます。予算内で理想の土地を見つけるのは、想像以上に根気とタイミングが必要です。 - 信頼できる会社が見つからない
ハウスメーカーや工務店は数多くあり、それぞれに特徴や強みが異なります。どの会社が自分たちの理想を叶えてくれるのか、比較検討するのが難しいと感じるでしょう。 - 担当者との相性
家づくりは、営業担当者や設計士と二人三脚で進めていきます。担当者との相性が合わないと、要望がうまく伝わらなかったり、打ち合わせが苦痛になったりする可能性があります。
デメリットを回避し後悔しないための対策
注文住宅のデメリットを知ると不安になるかもしれませんが、事前に対策を立てておけば、その多くは回避できます。後悔しない家づくりのために、5つの重要な対策をご紹介します。
正確な資金計画と総予算の把握
予算オーバーを防ぐためには、最初に「家づくりにかけられる総予算」を明確に決めることが最も重要です。
- 諸費用を含めた総額で考える
建物本体の価格だけでなく、別途工事費や諸費用(物件価格の10%が目安)も必ず含めて予算を組みましょう。 - FP(ファイナンシャルプランナー)に相談する
自分たちだけで資金計画を立てるのが不安な場合は、住宅ローンや保険に詳しいFPに相談するのがおすすめです。客観的な視点で無理のない返済計画を立ててくれます。 - 優先順位を決めておく
「キッチンだけは譲れない」「断熱性能は最高ランクにしたい」など、お金をかける部分とかけない部分の優先順位を家族で話し合っておきましょう。
家族での理想の暮らしの具体化
設計で後悔しないためには、「新しい家でどんな暮らしがしたいか」を家族全員で具体的にイメージすることが不可欠です。
- 現状の不満を書き出す
「収納が少ない」「キッチンが狭い」「冬は寒い」など、今の住まいに対する不満点をリストアップすると、新しい家に求めるものが見えてきます。 - 1日の生活をシミュレーションする
朝起きてから夜寝るまで、家族がそれぞれどのように家の中を移動し、どこで何をするかをシミュレーションしてみましょう。これにより、最適な生活動線や収納場所が見つかります。 - 要望は写真や雑誌で見せる
「おしゃれな感じで」といった抽象的な伝え方ではなく、Instagramや雑誌の切り抜きなど、具体的なイメージを写真で見せると設計士に要望が伝わりやすくなります。
複数社比較と相見積もりの徹底
住宅会社選びで失敗しないためには、必ず3社以上の会社を比較検討しましょう。
- 相見積もりを取る
同じような要望を伝えて、複数の会社から見積もりとプラン提案を受けましょう。これにより、費用の相場感が分かり、各社の提案力も比較できます。 - 得意分野を見極める
デザイン性の高い家が得意な会社、高気密・高断熱な家づくりが得意な会社など、それぞれに強みがあります。自分たちの理想に合った会社を選びましょう。 - 会社の経営状況も確認する
万が一の倒産リスクを避けるため、経営状況が安定しているかどうかもチェックしておくと安心です。
完成見学会・モデルハウスの活用
図面と実物のギャップをなくすために、積極的に足を運びましょう。
- モデルハウスで夢を膨らませる
モデルハウスは、各社の最新技術やデザインが詰まった空間です。理想のイメージを膨らませるのに役立ちますが、豪華なオプション仕様になっていることが多い点には注意が必要です。 - 完成見学会で現実的なサイズ感を掴む
最も参考になるのが、実際に施主が建てる家の「完成見学会」です。リアルな広さや間取り、標準仕様の設備などを確認できるため、自分たちの家づくりの具体的なイメージが湧きやすくなります。
信頼できる営業担当者の見極め
長い家づくりのプロセスを成功させる鍵は、パートナーとなる営業担当者です。
- メリットだけでなくデメリットも説明してくれるか
良いことばかりを言うのではなく、リスクやデメリットについても正直に話してくれる担当者は信頼できます。 - 提案力があるか
こちらの要望をただ聞くだけでなく、プロの視点から「こうした方がもっと良くなりますよ」といったプラスアルファの提案をしてくれるかどうかも重要なポイントです。 - 相性が良いか
最終的には、「この人になら任せられる」と思えるかどうか、フィーリングも大切にしましょう。質問しやすく、話しやすい担当者であれば、打ち合わせもスムーズに進みます。
デメリットだけじゃない注文住宅のメリット
多くのデメリットや注意点がありますが、それを上回る魅力があるからこそ、注文住宅は選ばれ続けています。ここでは、注文住宅ならではの4つの大きなメリットをご紹介します。
理想を叶える設計の自由度
最大のメリットは、何といっても設計の自由度の高さです。家族構成やライフスタイル、趣味に合わせて、間取りやデザインをゼロから作り上げることができます。
- 吹き抜けのある開放的なリビング
- 夫婦で使える書斎やワークスペース
- キャンプ用品をしまえる大きな土間収納
- ペットが快適に過ごせる工夫
など、建売住宅では実現が難しい、家族だけの「こだわり」を形にできるのが注文住宅の醍醐味です。
建築現場を確認できる安心感
家が建つプロセスを自分の目で見られることも、大きなメリットの一つです。
基礎工事や柱の組み立て、断熱材の施工状況など、完成したら見えなくなってしまう重要な部分を直接確認できます。職人さんたちが丁寧に作業している様子を見ることで、我が家への愛着も一層深まるでしょう。この「建築過程の透明性」は、建売住宅にはない大きな安心感に繋がります。
高い住宅性能と設備の選択肢
注文住宅では、住宅の性能を自分たちの希望に合わせて高めることができます。
- 高気密・高断熱
断熱材の種類や窓の性能を選ぶことで、夏は涼しく冬は暖かい、省エネで快適な住まいを実現できます。光熱費の削減にも繋がります。 - 高い耐震性
耐震等級3など、法律で定められた基準以上の高い耐震性能を持たせることも可能です。 - 最新設備の導入
最新のシステムキッチンやユニットバス、全館空調システムなど、好きなメーカーの好きなグレードの設備を自由に選べます。
資産価値の維持しやすさ
こだわって建てた注文住宅は、適切にメンテナンスをすれば資産価値を維持しやすいと言われています。
自分たちのライフスタイルに合わせて最適化された家は、愛着を持って大切に住み続けることができます。また、建築時の図面や仕様書がすべて手元に残るため、将来リフォームや売却をする際にも、家の情報を正確に伝えることができ、有利に働く場合があります。
あなたはどっち?注文住宅が向いている人
ここまで解説してきた内容を踏まえ、あなたが注文住宅と建売住宅のどちらに向いているか、特徴をまとめました。
注文住宅がおすすめな人の特徴
- 家づくりに強いこだわりや理想がある人
- 家族のライフスタイルに合わせた間取りを実現したい人
- 家が完成するまでのプロセスも楽しみたい人
- 土地の場所や環境を重視したい人
- 予算や時間に比較的余裕がある人
建売住宅がおすすめな人の特徴
- できるだけ費用を抑えてマイホームを手に入れたい人
- すぐに入居したい、転勤や入学の時期が決まっている人
- 間取りやデザインに強いこだわりがない人
- 土地探しや設計の打ち合わせに時間をかけたくない人
- 実際の建物を見て、納得してから購入したい人
迷ったら確認したいチェックリスト
まだ迷っている方は、以下の質問に答えてみてください。YESが多いほど、あなたは注文住宅に向いている可能性が高いです。
- 理想の間取りやデザインのイメージが具体的にある?
- 家づくりに関する情報収集や打ち合わせを「楽しい」と感じられそう?
- 家づくりに1年以上の時間をかけても問題ない?
- 予算について、ある程度の柔軟性(追加費用の可能性)を許容できる?
- 性能(断熱性・耐震性など)にはこだわりたい?
注文住宅の基礎知識Q&A
最後に、注文住宅を検討する上でよくある基本的な疑問にお答えします。
注文住宅とは?建売・分譲との違い
注文住宅とは、施主(建てる人)がハウスメーカーや工務店に依頼して、オーダーメイドで建てる家のことです。土地を持っていない場合は、土地探しから始める必要があります。注文住宅は、さらに以下の2つに分けられます。
- フルオーダー住宅
設計士と一から間取りやデザインを作り上げていく、完全な自由設計の家です。 - セミオーダー住宅
住宅会社が用意した基本プランの中から好きなものを選び、間取りの一部や内外装、設備などをカスタマイズしていく家です。フルオーダーより自由度は下がりますが、費用や手間を抑えられます。
一方で、建売住宅や分譲住宅は、不動産会社が土地と建物をセットで販売する住宅を指します。(※一般的に両者はほぼ同じ意味で使われます)
家が完成するまでの期間と流れ
注文住宅は、一般的に相談から完成・引渡しまで1年〜1年半程度かかります。大まかな流れは以下の通りです。
- 情報収集・資金計画(2〜3ヶ月): どんな家を建てたいかイメージし、予算を決める。
- 土地探し・住宅会社選び(3〜6ヶ月): 土地の契約と、建築を依頼する会社を決めて契約する。
- 設計・仕様の打ち合わせ(3〜6ヶ月): 詳細な間取りや内外装、設備などを決める。
- 建築工事(4〜6ヶ月): 着工から建物の完成まで。
- 完成・引渡し: 最終確認を行い、鍵を受け取って入居。
費用の内訳と支払いタイミング
注文住宅にかかる費用は、大きく分けて3つあります。
- 本体工事費(全体の約70%)
建物そのものを建てるための費用です。 - 別途工事費(全体の約20%)
屋外の給排水工事、駐車場、地盤改良工事など、建物以外にかかる費用です。 - 諸費用(全体の約10%)
税金、登記費用、ローン手数料、保険料など、現金で必要になることが多い費用です。
費用の支払いは、家が完成してから一括で支払うのではなく、工事の進捗に合わせて数回に分けて支払うのが一般的です。
- 契約時: 契約金(工事費の5〜10%)
- 着工時: 着工金(工事費の30%)
- 上棟時: 中間金(工事費の30%)
- 引渡し時: 最終金(残金)
まとめ
今回は、注文住宅のデメリットと、後悔しないための対策について詳しく解説しました。
注文住宅の主なデメリット
- 予算オーバーしやすい
- 時間と手間がかかる
- 設計で失敗する可能性がある
- 完成イメージとギャップが生まれることがある
- 土地探しや会社選びが大変
これらのデメリットは、一見すると大きなリスクに感じるかもしれません。しかし、一つひとつにしっかりとした対策を講じることで、そのほとんどは回避することが可能です。
- 正確な資金計画を立てる
- 家族で理想の暮らしを具体化する
- 複数社を比較検討する
- 完成見学会を活用する
- 信頼できる担当者を見つける
注文住宅は、確かに手間も時間もかかります。しかし、そのプロセスを経て完成した家は、どんな建売住宅にも代えがたい、家族だけの特別な場所になるはずです。
この記事が、あなたの後悔しない家づくりの一助となれば幸いです。まずは「新しい家でどんな暮らしがしたいか」をご家族で話し合うことから始めてみてはいかがでしょうか。
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豊栄建設家づくり編集部
家づくりのヒントや住まいの最新情報を分かりやすくご紹介。皆さまの理想の住まいづくりにお役立てください。