すまいの給付金とは?代わりの給付金・住宅取得支援制度も紹介

「すまいの給付金」とは、住宅を購入する際の負担を軽減するためにできた補助金制度です。残念ながら2024(令和6)年3月に申請受付を終了しており、2025(令和7)年現在は利用できません。

しかし、すまいの給付金に代わる新たな給付金制度によって、マイホームでの生活負担を少なくできる可能性があります。

この記事では、すまいの給付金とはどのような給付金制度なのか、2025年現在のすまいの給付金に代わる住宅補助金制度・支援制度などをご紹介していきます。これから住宅の購入を検討する方は、ぜひ参考にしてみてください。

すまいの給付金は2025年現在、申請終了している

消費税引き上げ対策として導入された「すまいの給付金」制度は、2025年現在すでに申請が終了しています。すまいの給付金の背景には「消費税増税」と「住宅ローン減税(※)」が深く関わっています。

すまいの給付金は、消費税引き上げによる住宅購入時の負担増を緩和するために導入された制度です。従来からあった住宅ローン減税は、住宅取得促進を目的とした税制優遇ですが、所得税額に応じた控除なので、収入が低い層には恩恵が届きにくいという課題がありました。すまいの給付金は、住宅ローン減税の効果を十分に受けられない低〜中所得者層に対する支援を目的として導入された補助金です。

たとえば、3,500万円の住宅を購入する場合、消費税率が8%(280万円)から10%(350万円)に上がると金銭的負担が大幅に増えます。増税による金銭的な負担を軽減するため、2014(平成26)年の消費税8%への引き上げにともない導入・開始されたのが「すまいの給付金」制度です。

当初の最大受給額は30万円でしたが、さらに 2019(令和元)年の消費税10%の増税では、限度額が最大50万円まで拡大されました。

このように、すまいの給付金は消費税増税にともなう一時的な住宅取得支援策として機能し、2024(令和6)年3月の申請受付終了をもって、その役割を終えました。

参照:国土交通省「住宅ローン減税」
参照:国土交通省「すまい給付金について」

※住宅ローン減税:住宅ローンを借り入れて住宅を新築・取得、または増改築をすると、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から13年間控除する制度

すまいの給付金とは

すまいの給付金を受給するにはどのような要件が必要で、いくらもらえるのかを解説していきます。

支給要件を解説

すまいの給付金の支給対象となるには、以下の要件を満たさなければなりません。

【対象者に対する支給要件】

⚫︎住宅の所有者、居住者である
⚫︎収入が一定以下である(年収の目安が775万円以下)
⚫︎住宅ローンを利用する
⚫︎住宅ローンを利用しない場合「50歳以上」かつ「年収650万円以下」である

参照:国土交通省「住宅関連税制とすまい給付金R3.6」PDF2ページ

年収の目安は夫婦(妻は収入なし)および中学生以下の子どもが2人である世帯の場合です。

対象となる住宅にも要件があり、下表のように「新築住宅」と「中古住宅」で要件が異なります。

【対象となる住宅の支給要件】

  新築住宅の要件 中古住宅の要件
住宅ローン利用者の要件 ・床面積が50㎡以上
・住宅瑕疵担保保険(※1)への加入
・建設住宅性能表示(※2)を利用している
・住宅瑕疵担保責任保険法人による工事中の検査が実施された
・床面積が50㎡以上
・建築基準法の耐震基準を満たしている
・既存住宅売買瑕疵保険(※3)への加入や既存住宅性能表示(※4)を利用しているなど、第三者の検査を受けて品質を確認されている
・売主が不動産会社である
住宅ローンを利用しない場合の要件 上記の要件に加えて
・「フラット35Sの基準(※5)」をクリアしている
 

参照:国土交通省「住宅関連税制とすまい給付金R3.6」PDF2ページ

※1 住宅瑕疵担保保険:住宅に瑕疵(欠陥)が発生した場合に補修費用を補う制度
※2 建設住宅性能表示:住宅の性能を客観的に評価して表示する制度
※3 既存住宅売買瑕疵保険:中古住宅の検査と保険がセットの保険
※4 既存住宅性能表示:中古住宅の性能を客観的に評価して表示する制度
※5 フラット35Sの基準:省エネルギー性や耐震性、耐久性・可変性、バリアフリー性のうちどれかに優れた性能を持つ住宅

給付額の計算方法

すまいの給付金の給付額は下表のように5段階に区分されていて、年収が低いほど給付額が大きく、年収が高いほど給付額が小さくなります。

下表は2019年10月以降、消費税率が10%に上がった際に変更された給付額です。

【消費税率10%の場合の給付額】

年収の目安 (※1)都道府県税の所得割額(※2)給付額
450万円以下7.60万円以下50万円
450万円超525万円以下7.60万円超9.79万円以下40万円
525万円超600万円以下9.79万円超11.90万円以下30万円
600万円超675万円以下11.90万円超14.06万円以下20万円
675万円超755万円以下14.06万円超17.26万円以下10万円

参照:国土交通省「住宅関連税制とすまい給付金R3.6」PDF2ページ

※1 年収の目安:夫婦(妻は収入なし)および中学生以下の子どもが2人である世帯の場合
※2 都道府県税の所得割額 :政令指定都市および神奈川県は所得割額が上表と異なる

消費税率が8%から10%に引き上げられ、対象となる年収の上限と給付額もアップしています。給付額上限は450万円以下で最大50万円です。

申請方法と必要書類

すまいの給付金を受け取るには、申請者が手続きを済ませなくてはなりません。申請時に必要な書類は以下の通りです。

【主な必要書類】

必要書類概要
給付申請書すまい給付金を申請するための書類
住民票の写し引っ越し後の住所が記載された住民票
個人住民税の課税証明書住民税額を証明する書類
通帳などのコピー給付金の振込先となる口座が確認できる通帳などのコピー
建物の登記事項証明書・謄本登記簿に記載された不動産の情報を証明したもの
「不動産売買契約書」
または
「工事請負契約書」
「不動産売買契約書」とは不動産の売買契約を締結する際に用いられる契約書
「工事請負契約書」は発注者と請負者の間で交わされる契約書
「住宅瑕疵担保責任保険の付帯保証書」
「建設住宅性能評価書」
「住宅瑕疵担保責任保険法人検査実施確認書」
3つのうちどれか1つ
「住宅瑕疵担保責任保険の付帯保証書」とは保険に加入していることを証明する書類
「建設住宅性能評価書」は住宅性能の評価をまとめた書類
「住宅瑕疵担保責任保険法人検査実施確認書」とは検査を実施して住宅の品質を確認できた際に発行される書類
住宅ローンを利用した場合金銭消費貸借契約書住宅購入者と金融機関の間で交わされる契約書

参照:国土交通省「住宅関連税制とすまい給付金R3.6」PDF1ページ

申請方法は以下の3つがあります。

【申請方法】

⚫︎すまい給付金申請窓口へ直接申請
⚫︎郵送で申請
⚫︎住宅事業者などが手続きを代行して申請

しかし、2025年現在はすまいの給付金制度が終了しており、給付金を受け取ることができません。

住宅の取得を検討している方は、現在利用可能な給付金や補助金・支援制度に目を向けましょう。

【2025年度】すまいの給付金に代わる住宅補助金・支援制度

2025年度現在、すまいの給付金に代わる国の給付金制度はあるのでしょうか。ここでは、家づくりに活用できる最新の住宅補助金・支援制度をご紹介します。

子育てグリーン住宅支援事業

子育てグリーン住宅支援事業とは「省エネ性能の高い住宅の新築・購入」や「省エネリフォーム」を行った世帯に対して、国が補助金を支給する制度です。

新築住宅の場合の補助対象と補助金額は以下のとおりです。

対象世帯 対象住宅(※1) 補助額
すべての世帯 GX志向型住宅(※3) 160万円/戸
子育て世帯等(※2) 長期優良住宅(※4) 建替前住宅等の除却を行う場合 100万円/戸
上記以外の場合 80万円/戸
ZEH水準住宅(※5) 建替前住宅等の除却を行う場合 60万円/戸
上記以外の場合 40万円/戸

参照:国土交通省「子育てグリーン住宅支援事業の概要」

※1 対象となる住宅:床面積が50㎡以上240㎡未満
※2 子育て世帯等:「18歳未満の子を有する世帯」または「夫婦のいずれかが39歳以下の世帯」
※3 GX志向型住宅:優れた断熱性能と高効率の設備を導入し、太陽光発電などを活用してエネルギー消費量をゼロにする住宅
※4 長期優良住宅:耐震性、耐久性などの基準を満たした住宅
※5 ZEH水準住宅:省エネルギー性能を備えながら、太陽光発電などの再生可能エネルギー導入が必須でない住宅

ZEH補助(戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業)

ZEH(ゼッチ)とはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略語です。「高断熱性能」「省エネ設備」「太陽光発電などの再生可能エネルギー」によって年間で消費するエネルギー量を実質ゼロにする住宅を指します。

ZEH補助金は断熱性能や高効率の設備など、省エネ性能の高い住宅の建築を支援する補助金制度です。

ZEH補助金の補助金額は、以下のとおりです。

区分ZEH・Nearly ZEH(※1)・ZEH Oriented(※2)ZEH+(※3)・Nearly ZEH+(※4)
補助額(基本)55万円/戸90万円/戸
追加補助の対象となる機器と補助額蓄電システム:上限20万円/台高度エネルギーマネジメント(HEMSなど):2万円/戸蓄電システム:上限20万円/台

参照:環境省「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」
参照:経済産業省「令和7年度以降におけるZEH+(Nearly ZEH+)の定義変更」 PDF3ページ

※1 Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)寒冷地や低日射地域など、エネルギー創りが十分にできない地域向けの基準
※2 ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド)都市部などで土地が狭く、エネルギー創りが十分にできない地域向けの基準
※3 ZEH+(ゼッチプラス)ZEHをさらに高性能化させた住宅
※4 Nearly ZEH+(ニアリーゼッチプラス)Nearly ZEHを高性能にした基準

住宅ローン減税

住宅ローン減税とは、住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得または増改築等をした際、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除する制度です。

ただし、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、原則として「省エネ基準適合住宅(※4)」でないと控除を受けられません。

住宅ローン減税の「借入限度額」と「控除期間」は、住宅の性能や世帯の状況によって異なります。

住宅の環境性能等 借入限度額 控除期間
長期優良住宅低炭素住宅(※2) 子育て世帯・若者夫婦世帯(※1):5,000万円 13年間
その他の世帯:4,500万円
ZEH水準省エネ住宅(※3) 子育て世帯・若者夫婦世帯:4,500万円
その他の世帯:3,500万円
省エネ基準適合住宅(※4) 子育て世帯・若者夫婦世帯:4,000万円
その他の世帯:3,000万円
その他の住宅 0円(2023年度までに建築確認を受けた住宅は借入限度額2,000万円)

参照:国土交通省「住宅ローン減税」

※1 子育て世帯・若者夫婦世帯:「19歳未満の子を有する子育て世帯」または「夫婦のいずれかが40歳未満の若者夫婦世帯」
※2 低炭素住宅:二酸化炭素の排出量を抑えた住宅
※3 ZEH水準省エネ住宅:断熱等級5かつ一次エネルギー消費量等級6の省エネ住宅
※4 省エネ基準適合住宅:断熱等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上の性能を有する住宅

住宅取得等資金贈与の非課税

住宅取得等資金贈与の非課税とは、2024年1月から2026年12月までの間に子どもや孫に対し住宅購入資金を援助する方に、最大1,000万円までを非課税にするという特例です。

この特例は、新たに住宅を取得するときの資金援助にのみ適用され、既存の住宅ローン返済をするための資金援助は対象となりません。

非課税になる金額は、以下のとおりです。

住宅の種類質の高い住宅(※)一般住宅
非課税になる金額1,000万円500万円

参照:国土交通省「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について」

※質の高い住宅の基準:「断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上」「耐震等級2以上または免震建築物」「高齢者等配慮対策等級3以上」のいずれかに該当すること

自治体の補助金制度(札幌市の場合:札幌版次世代住宅補助制度)

豊栄建設のある札幌市では、市内に新築住宅を建てる方を対象として「札幌版次世代住宅補助制度」を実施しています。

札幌版次世代住宅補助制度とは、札幌市独自の住宅性能基準である「札幌版次世代住宅基準」を満たす住宅の建築費用を補助する制度です。

補助金交付の登録・申請は、予算の消化状況に応じて最大4回までの受付を予定しています。2025年度の受付期間は次のとおりです。

登録申請受付期間受付状況
第1回2025年4月16日〜4月23日受付終了
第2回2025年6月11日〜6月18日受付前
第3回2025年8月20日〜8月27日受付前
第4回2025年10月15日〜10月22日余剰金が発生した際に実施

参照:札幌市「札幌版次世代住宅補助制度」
補助金額は、以下のように住宅の等級によって決まります。等級は、断熱性能などの基準をもとに審査したうえで認定したものです。

対象となる札幌版次世代住宅の等級補助金額
プラチナ220万円
ゴールド180万円

参照:札幌市「札幌版次世代住宅補助制度」

※シルバー、ブロンドは補助金の対象外
※補助金の交付は、同一年度、同一敷地、同一申請者につき1回限り

まとめ

すまいの給付金は、消費税引き上げ対策として2014年に導入し、最大50万円が住宅購入時の補助金として支給されました。この制度は目的を果たして2024年3月に申請受付を終了しています。

すまいの給付金に代わる補助金制度には「子育てグリーン住宅支援事業」「ZEH補助金」「札幌版次世代住宅補助制度」などがあります。2025年度の補助金制度は、省エネ性能が高い住宅ほど支援が手厚い傾向です。

補助金制度は定義や要件が毎年変更されます。最大限の補助金を活用するためにも、最新の情報を確認しましょう。

この記事の担当:

豊栄建設家づくり編集部

家づくりのヒントや住まいの最新情報を分かりやすくご紹介。皆さまの理想の住まいづくりにお役立てください。

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