ローコスト住宅 20坪の費用相場は?広さ、間取り、安く建てるコツを解説

「夫婦2人で、無理のないサイズの家に暮らしたい」
「子どもが独立したので、ちょうどいい広さに住み替えたい」
そんな少人数世帯に注目されているのが、20坪のローコスト住宅です。一般的な戸建てよりもコンパクトで、 設計を工夫すれば、限られた広さの中でも快適な暮らしが実現できます。
この記事では、間取り例や建築費用の相場、さらに安く建てる5つの具体的な方法をご紹介します。 無理のない予算で、自分たちらしい住まいを叶えたい方は参考にしてみてください。
この記事の目次
20坪のローコスト住宅で賢く小さく暮らすという選択肢
生活コストを抑えながら快適に暮らせる住まいとして、コンパクトな住宅が注目されています。
総二階にして構造をシンプルにする、水まわりを標準仕様にするなど、設計の工夫で建築費を抑えやすいからです。また、延床面積が小さい分、冷暖房費や固定資産税などの維持費も軽減しやすい傾向にあります。
必要な機能をしっかり備えた住まいは、無理のない暮らしを目指す方にとって、現実的な選択肢といえるでしょう。
20坪の家ってどれくらいの広さ?
20坪とは約66㎡(1坪=約3.31㎡)で、畳に換算すると約40畳の広さです。
夫婦2人や小さな子どもを含む3人家族までなら暮らしやすく、2LDK〜コンパクトな3LDKも可能です。
人数に応じた住宅の広さについては、国土交通省が「誘導居住面積水準(豊かな生活を送るために必要と考えられる居住面積の水準)」を定めています。3人以上の世帯で広さにゆとりを求めるなら、30〜38坪前後がおすすめです。
■一般型の住まいを想定した誘導居住面積水準
※【 】内は、3~5歳児が1名いる場合
世帯人数 | 2人 | 3人 | 4人 |
床面積 | 75【75】㎡ | 100【87.5】㎡ | 125【112.5】㎡ |
坪数 | 約23坪【約23坪】 | 約30坪【約26坪】 | 約38坪【約34坪】 |
また、各部屋の広さの目安は、総二階なら各階の面積は約10坪(20畳程度)です。
【総二階を想定した各部屋の面積例】
階層 | 部屋構成 | 面積の目安 |
1階 | LDK(リビング、ダイニング、キッチン) | 10〜12畳 |
水回り(浴室、トイレ、洗面所) | 4~4.5畳 | |
2階 | 主寝室 | 6畳 |
子ども部屋・書斎 | 9畳~10畳(各4.5〜6畳 2部屋分) |
※玄関・階段・ホールなどを含めて全体で約20坪(40畳程度)を想定
平屋にすれば、広々とした1LDK〜2LDKも実現できるでしょう。廊下を減らす、収納をまとめて配置するなど、設計の工夫次第で快適な空間づくりができます。
20坪の家はどんな暮らし・家族向け?
20坪の家は、家事や維持管理の負担を減らし、最低限の機能だけをシンプルにまとめたい少人数世帯に向いています。
たとえば、家事動線を短く設計した2人暮らしの夫婦や、コンパクトに暮らしたいDINKs世帯、子どもが独立したあとの住み替え先として選ばれることもあります。掃除や管理の手間が少ないうえ、部屋数を絞れば空間を効率的に使えるため、ミニマルな暮らしを目指す方にも人気です。
セカンドハウスや子世帯との近居、老後の住み替えといった用途にも選ばれており、シニア世代にもおすすめです。
【暮らしのイメージ例】
夫婦2人DINKs世帯 | 廊下を省き、家事動線を短くしたミニマルな暮らし 部屋数を絞れば空間を効率的に使える |
3人家族(子どもは小学生まで) | 家事動線を短くし、掃除や管理の手間が少ない暮らし小さい子どもが大きくなっても、一人部屋を確保できる |
シニア世代 | 平屋でバリアフリーにして、老後も安心した暮らし子どもが独立したあとの住み替え先として人気 |
さらに、土地に制約がある都市部や狭小地にも対応しやすく、土地代を抑えたい方にも適した選択肢といえます。家族構成や暮らし方に合わせた間取りを考えると、快適性と実用性を両立できます。
20坪の家をローコストで建てる費用相場と内訳
20坪のローコスト住宅を建てる場合、建物本体価格の目安は約1,200万〜1,700万円です。この金額は、ローコスト系ハウスメーカーが公表している価格や、規格住宅のプラン価格を参考にしていますが、年々価格は上昇してきています。
国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査」によると、全国の注文住宅における平均的な建築資金(土地代を除く)は約36.7坪で4,319万円です。坪単価に換算すると約118万円で、20坪で換算すると約2,360万円になります。
(出典:『令和5年度 住宅市場動向調査報告書』(国土交通省)PDF93、116ページより)
ローコスト住宅は、一般的な注文住宅のおよそ半額程度で建てられることもありますが、この水準はあくまで平均的な注文住宅の実績に基づいています。コストを抑えたい場合は、規格住宅や建売住宅といった選択肢も検討するとよいでしょう。
なお、北海道は寒冷地なので、断熱性能や基礎構造への配慮が求められます。他地域と比べて建築費がやや高くなる傾向があり、予算にはある程度の余裕をもたせておくと安心です。
さらに、ローコスト住宅を検討する際は、本体価格だけで判断せず、付帯工事や諸費用を含めた総額で比較しましょう。費用の内訳は主に3つあります。
■費用の主な内訳
費用内訳 | 金額例 |
建物本体 | 1,200万円 |
付属工事(地盤改良・外構・水道工事など) | 200万円 |
諸費用(設計料・申請費・登記・ローン手数料など) | 100万円 |
合計 | 1,500万円 |
なお、見積もりの範囲や、費用の定義は工務店によって異なる場合が多いです。複数社から見積もりを取り、内訳を比較・検討しましょう。
20坪の家を「ローコスト」で実現するための具体的な5つの方法・工夫
ローコストで家を建てるには、建物の形状や材料の選定に加え、設計や施工の工夫が必要です。設備や間取りの自由度が限られるなど、一定の制約もありますが、これらの欠点を補う形で費用を抑えれば、無理なく合理的な住まいが実現できます。
1.建物の形状や間取りを極力シンプルにする
建物の形状を正方形や長方形にすると構造が単純になり、材料費や施工費が抑えやすいです。
間取りは部屋数を絞り、廊下を省いてホールでつなぐ設計にすれば、限られた床面積を無駄なく活用できるでしょう。また、キッチン・洗面・浴室・トイレといった水回りを一箇所にまとめると、配管が短くなり工事費の削減につながります。
さらに、LDKと個室を最短動線で配置すれば、暮らしやすさとコスト効率の両立も期待できます。
【シンプル化の具体例】 ・建物の形状は正方形または長方形に ・部屋数を絞った間取りにする ・廊下をなくしてホールで各部屋を接続 ・LDKと個室を最短動線で配置 ・キッチン・洗面・浴室・トイレは一か所に集約 |
このように、建物の形や間取り、水回りの配置に配慮すると、限られた予算内でも効率的な住まいづくりが可能です。ローコスト住宅を成功させるには、コストを抑えるだけでなく、暮らしやすさとのバランスを意識した設計がカギと言えます。
2.構造と工法の選び方を工夫する(平屋 vs 総二階など)
構造と工法の選び方は、費用や暮らしやすさに直結します。組み合わせ次第で、必要な材料の量や施工の手間が異なり、コストにも差が出るからです。さらに、間取りのつくりやすさや断熱・気密の性能にも影響し、住んだあとの快適さや光熱費にも関わってきます。
構造は、平屋や総二階、三階建てが一般的ですが、それぞれ特徴が異なります。
【構造の比較】
構造 | メリット | デメリット |
平屋 | 構造がシンプルで施工がしやすい階段などにかける費用がかからない | 基礎と屋根の面積が広くなり材料費がかさむ |
総二階 | 床面積を上下にわけると坪単価が下がりやすい敷地が限られていても対応しやすい | 階段があるので老後の暮らしには不向きな場合がある |
三階建て | 都市部の狭小地でも建てられる | 構造補強や法規対応に費用がかかる |
工法には、木造や鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨造などがあります。ローコスト住宅では木造が採用されることが多く、断熱や気密の確保もしやすいのが特徴です。
【工法の比較】
工法 | 特徴 | コスト単位:千円 | 断熱工法 |
木造 | 断熱・気密性が高く、室内が暖まりやすい 上下階・隣室の音がやや響きやすい | 234 | 付加断熱+充填断熱 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 高層・非住宅向け 構造がより複雑で重厚感・安心感が高い | 318 | 複合断熱(内断熱+外断熱の併用) |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 蓄熱効果で暖まりにくく冷めにくい冷暖房効率が良く、遮音性も高い | 304 | 複合断熱(内断熱+外断熱の併用) |
鉄骨造 | 広い空間設計が得意 金属のため熱を通しやすく、断熱・結露対策が重要 | 294 | 外張り断熱+吹付断熱 |
(参照:国税庁 地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和6年分用】より)
構造と工法を組み合わせて考えると、寒冷地では「総二階×木造」が、コストと断熱性のバランスがとれた選択といえるでしょう。
3.延床面積を本当に必要な分だけにする
延床面積が大きくなれば建築費も比例して増加するため、本当に必要な広さを見極めましょう。20坪の限られた広さでも、収納や家具の配置を工夫すれば、狭さを感じにくい空間を十分に実現できます。
たとえば、ソファとベッドを兼ねたデイベッドの活用や、壁面収納・折りたたみ式テーブルの導入は省スペースに効果的です。
さらに、在宅ワーク・子ども部屋・来客対応などを1室でまかなう「多機能スペース」も、延床面積を抑えつつ快適に暮らす工夫のひとつと言えます。
ロフトや床下収納も収納力を高める手段ですが、施工費が割高になりやすく、費用のバランスも考えて検討してください。
4.標準仕様や設備を賢く選ぶ
ローコスト住宅では、設備の選び方によって費用に大きな差が出ます。
高機能設備は便利ですが、多くがオプション扱いとなり、予算を圧迫する要因になります。
【オプションになりやすい主な設備】 ・食洗器付きシステムキッチン ・タンクレストイレ ・IHクッキングヒーター ・床暖房 ・宅配ボックス ・造作収納 |
これらの設備は、必要性と優先度をよく見極め、標準仕様で十分な性能を持つものを選べば、初期コストを効果的に抑えられるでしょう。
5.信頼できるローコスト住宅メーカー・工務店を見つける
ローコスト住宅では、どの施工会社に依頼するかも意識しましょう。
「安かろう悪かろう」を避けるには、価格だけでなく、使用されている材料の品質や、費用の内訳を丁寧に説明してくれるかどうかも確認しましょう。
たとえば、「断熱性能は標準か」「設備グレードは最低限か」など、どこに費用をかけ、どこを抑えているのかを明確に示してくれる会社は信頼性が高いといえます。
また、施工実績や担当者の対応力、アフター保証の内容も会社選びの判断材料になります。
項目 | チェックすべきポイント |
過去の施工実績 | 建物の仕上がりやデザインの傾向 |
利用者の口コミ | SNS・口コミサイトでの評価 |
標準仕様の内容 | 窓・断熱・設備グレード |
アフターサービス | 有無と保証期間 |
費用 | 費用をかけている項目と抑えている理由の説明 |
担当者 | 対応力、提案の的確さ・柔軟さ |
1社だけでは価格や仕様の比較はできません。複数社に相談すると、自分たちの希望に合った最適なバランスが見えてくるでしょう。
まとめ
20坪のローコスト住宅は、限られた広さの中でも工夫次第で快適な暮らしを実現できます。費用を抑えつつも、自分たちらしい暮らしを叶えるには、間取りや設備の選び方、工務店選びが重要です。
この記事を参考に、20坪の住宅があなたにとって最適な選択肢かどうか、ぜひ検討してみてください。費用を抑えながらも、賢く満足度が高い住まいづくりを目指しましょう。
この記事の担当:

豊栄建設家づくり編集部
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