「ウォークインクローゼット(WIC)を作りたいけど、どのくらいの広さが必要?」「2畳だと狭い?3畳は広すぎる?」「使いやすいレイアウトってどんな形?」
注文住宅やリノベーションで間取りを考えるとき、ウォークインクローゼットは多くの人が憧れる収納スペースですよね。しかし、具体的な広さやレイアウトで悩み、後悔するケースも少なくありません。
この記事では、あなたのライフスタイルにぴったりのウォークインクローゼットを実現するため、畳数別の間取り例から、失敗しないための基本寸法、おしゃれで機能的な収納術まで、専門家の視点で徹底的に解説します。
この記事を読めば、自分たちに最適なウォークインクローゼットの形が具体的に見えてくるはずです。後悔しない家づくりのために、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の目次
後悔しないWIC間取りの基本知識
まずはじめに、ウォークインクローゼットの間取りを考える上で絶対に知っておきたい基本知識を3つご紹介します。ここを押さえるだけで、設計士さんとの打ち合わせもスムーズに進みます。
ウォークインとファミリークローゼットの違い
よく似た言葉ですが、それぞれに特徴があります。どちらが自分のライフスタイルに合っているか考えてみましょう。
- ウォークインクローゼット(WIC)
人が中に入って歩けるスペースがある、個室タイプのクローゼットです。一般的に寝室などプライベートな空間に隣接して作られます。個人の衣類や小物をまとめて収納するのに適しています。 - ファミリークローゼット(FCL)
家族全員の衣類をまとめて収納する、より大型のクローゼットです。玄関や洗面所の近くなど、家族みんながアクセスしやすい場所に配置されることが多いのが特徴です。洗濯物をしまう、着替えるといった動線を一か所に集約できるメリットがあります。
ウォークインクローゼットのメリット・デメリット
憧れのウォークインクローゼットですが、メリットだけでなくデメリットも理解しておくことが後悔しないためのポイントです。
メリット
- 圧倒的な収納力
衣類だけでなく、スーツケースや季節家電、布団など、かさばる物もまとめて収納できます。 - コーディネートがしやすい
中で着替えたり、手持ちの服を一覧したりできるため、毎日の服選びが楽になります。 - 部屋がすっきり片付く
収納家具を置く必要がなくなり、寝室などの居住空間を広く使えます。
デメリット
- ある程度の面積が必要
通路スペースを確保する必要があるため、同じ収納量なら壁面クローゼットより広い面積が必要です。 - 湿気やホコリがたまりやすい
空気の流れが滞りやすいため、換気対策をしないとカビやニオイの原因になることがあります。 - 通路がデッドスペースになりがち
レイアウトを工夫しないと、ただの通路で終わってしまい、収納効率が悪くなる可能性があります。
失敗しないための通路幅と奥行きの基本寸法
ウォークインクローゼットの使いやすさを左右するのが「寸法」です。設計段階で必ず確認したい、最低限必要な寸法を覚えておきましょう。
- 通路幅
人がスムーズに通るためには、最低でも60cmは確保したいところです。中で着替えたり、荷物を持ちながら移動したりすることを考えると、70cm〜90cmあると非常に快適になります。 - ハンガーパイプの奥行き
ハンガーにかけた衣類の肩幅を考慮すると、壁からハンガーパイプの中心まで約30cm、衣類の厚みを含めた全体の奥行きとして約55cm〜60cmが必要です。 - 枕棚(まくらだな)の高さ
枕棚とは、ハンガーパイプの上部に設置される棚のことです。床から170cm〜180cm程度の高さに設置するのが一般的。身長に合わせて調整すると、より使いやすくなります。
【畳数別】ウォークインクローゼットの間取り
ここからは、最も気になる「広さ」について、2畳・3畳・4畳のケース別に詳しく見ていきましょう。それぞれの広さでできること、収納量の目安を解説します。
【2畳】間取り例と収納できる量の目安
2畳のウォークインクローゼットは、夫婦2人分の衣類を収納するのに最適な、最もスタンダードな広さです。約3.3平方メートルのスペースで、通路と収納棚を効率よく配置できます。
- 収納量の目安
ハンガーパイプを約3.6m(L字型の場合)設置でき、約100〜140着の衣類を収納可能です。スーツケースや収納ボックスも置けます。 - おすすめのレイアウト
通路幅を確保しやすい「I字型」や「L字型」がおすすめです。「コの字型」も可能ですが、通路が少し狭くなる可能性があります。 - 向いている人
- 夫婦2人暮らし
- 衣類の量が標準的
- コンパクトでも効率的な収納を求めている
2畳のウォークインクローゼットは、限られたスペースを最大限に活用したい方にぴったりの選択肢と言えるでしょう。
【3畳】間取り例と収納できる量の目安
3畳のウォークインクローゼットは、収納力とゆとりを両立できる人気の広さです。約5平方メートルのスペースがあり、家族3〜4人分の衣類も十分に収納できます。
- 収納量の目安
ハンガーパイプを約5.4m(コの字型の場合)設置でき、約150〜210着の衣類を収納可能です。棚を増やしたり、中央に収納家具を置いたりする余裕も生まれます。 - おすすめのレイアウト
収納効率が最も高い「コの字型」がおすすめです。通路幅も十分に確保でき、中で着替えたり、姿見を置いたりすることも可能です。 - 向いている人
- 3〜4人家族
- 衣類やファッション小物が多い
- 収納だけでなく、着替えや身支度のスペースとしても使いたい
3畳あれば、収納に加えて「部屋」としての機能も持たせやすくなります。
【4畳】間取り例と収納できる量の目安
4畳以上のウォークインクローゼットは、まさに「夢の収納部屋」です。約6.6平方メートル以上の広大なスペースで、衣類だけでなく、趣味の道具や書斎スペースを設けることも可能です。
- 収納量の目安
ハンガーパイプの長さに加え、大型のチェストや棚を複数置けます。家族全員分の衣類はもちろん、季節家電や来客用の布団まで、家中のものを集約できます。 - おすすめのレイアウト
「コの字型」に加えて、中央に棚を置く「アイランド型」も実現可能です。ブティックのような、見せる収納を楽しめます。 - 向いている人
- 家族の人数が多い、または将来増える予定
- 衣類以外の荷物もまとめて管理したい
- 書斎や趣味のスペースとしても活用したい
4.5畳や6畳とさらに広くすることで、書斎やメイクスペースとして本格的に使うこともできます。
最適な広さ・大きさの選び方
「結局、我が家には何畳がベストなの?」と迷ったら、以下の3つのステップで考えてみましょう。
- 持ち物リストを作成する
現在持っている衣類、バッグ、靴、季節家電などをすべてリストアップし、どれくらいの収納量が必要か把握します。 - 使い方をイメージする
ただ収納するだけか、中で着替えもしたいのか、アイロンがけや身支度もするのか。WIC内での過ごし方を具体的に想像することが大切です。 - 将来のライフプランを考える
将来、家族が増えたり、趣味の物が増えたりする可能性も考慮に入れましょう。少し余裕を持たせた広さにしておくと、将来的な変化にも対応できます。
【レイアウト別】使いやすい棚の配置パターン
ウォークインクローゼットの使い勝手は、棚の配置(レイアウト)で大きく変わります。代表的な4つのパターンと、それぞれの特徴をご紹介します。
I字型(壁一面)レイアウトの特徴
- 特徴
片側の壁一面のみに収納を設ける、最もシンプルなレイアウトです。 - メリット
通路幅を最も広く取れるため、狭いスペースでも圧迫感がありません。車椅子などでも利用しやすいです。 - デメリット
収納量は他のレイアウトに比べて少なくなります。 - おすすめの広さ
2畳程度のコンパクトなWIC
L字型(二面)レイアウトの特徴
- 特徴
隣り合う二面の壁に収納を設けるレイアウトです。 - メリット
I字型より収納量が多く、コーナー部分も有効活用できます。通路スペースと収納量のバランスが良いのが魅力です。 - デメリット
コーナー部分がデッドスペースになりやすいため、棚の配置に工夫が必要です。 - おすすめの広さ
2畳〜3畳のWIC
コの字型(三面)レイアウトの特徴
- 特徴
入り口以外の三面の壁すべてに収納を設けるレイアウトです。 - メリット
壁面を最大限に活用できるため、収納効率が最も高いです。 - デメリット
ある程度の広さがないと、通路が狭くなり圧迫感が出ます。最低でも3畳程度の広さが欲しいところです。 - おすすめの広さ
3畳以上のWIC
アイランド型(中央棚)レイアウトの特徴
- 特徴
コの字型に加えて、部屋の中央に島(アイランド)のように収納家具を配置するレイアウトです。 - メリット
アクセサリーや時計などをディスプレイするように収納でき、まるでショップのようなおしゃれな空間を演出できます。 - デメリット
かなりの広さが必要で、4畳以上のWICでないと実現は難しいでしょう。 - おすすめの広さ
4畳以上の広いWIC
おしゃれで機能的な間取り実例集【画像付き】
ここでは、思わず真似したくなるような、おしゃれで機能的なウォークインクローゼットの間取り実例を畳数別にご紹介します。
2畳のウォークインクローゼット実例

- 壁紙で可愛らしく
奥の壁にアクセントクロスを使えば、2畳でも奥行きと個性を感じさせる空間になります。入り口をアーチ状にするのもおすすめです。 - 全身鏡を扉にする
スペースが限られる2畳では、全身鏡を設置する場所に悩みます。そんな時は、収納棚の扉をミラータイプにしたり、壁に直接大きな鏡を貼り付けたりすると、スペースを有効活用しながらコーディネートチェックもできます。
3畳のウォークインクローゼット実例

- 窓を設けて明るく換気
3畳の広さがあれば、小さな窓を設けることも可能です。自然光が入ることで衣類の色が確認しやすくなるだけでなく、湿気対策にも効果的です。 - カウンターを造作して多機能に
L字型やコの字型のレイアウトの一部にカウンターを造作すれば、アイロンがけをしたり、アクセサリーを置いたり、ちょっとした書き物をしたりするのに便利なスペースが生まれます。
4畳以上のウォークインクローゼット実例

- アイランドカウンターでホテルのように
中央に引き出し付きのアイランドカウンターを設置。上にはアクセサリーや時計を並べ、引き出しにはネクタイや下着を収納すれば、まるで高級ホテルのクローゼットのような空間に。 - 書斎と兼用する贅沢空間
壁一面を本棚にし、窓際にデスクを置けば、集中できるプライベートな書斎としても活用できます。収納とワークスペースを両立できる、究極の多機能ルームです。
寝室・玄関横など場所別の間取りアイデア
- 寝室横
最も一般的な配置です。朝の身支度から就寝前の着替えまで、動線がスムーズになります。 - 玄関横(シューズインクロークと兼用)
コートや上着、靴をまとめて収納できるため、帰宅後すぐに部屋着に着替えられ、花粉やウイルスを室内に持ち込みにくいというメリットがあります。 - 洗面脱衣所横
洗濯→乾燥→収納の動線が最短になります。家族の下着やタオル、パジャマなどを収納するファミリークローゼットとして最適です。
収納力を上げるためのアイデア・収納術
ウォークインクローゼットは、少しの工夫でさらに収納力をアップさせることができます。今日からでも真似できるアイデアをご紹介します。
デッドスペースをなくす棚の工夫
- ハンガーパイプを2段にする
ジャケットやシャツなど、丈の短い衣類をかけるエリアは、ハンガーパイプを上下2段に設置すると収納力が倍増します。 - 可動棚を活用する
棚を可動式にしておけば、収納する物の高さに合わせて自由に位置を変えられます。バッグや帽子、収納ボックスなど、様々なアイテムに柔軟に対応できます。 - 壁面フックや有孔ボードを取り入れる
ネクタイやベルト、アクセサリー、帽子などをかけるのに便利です。壁の空いているスペースを有効活用できます。
衣替えが楽になる収納ボックス活用術
季節外の衣類は、同じ種類・サイズの収納ボックスに入れて枕棚や下段に収納しましょう。中身が分かるようにラベルを貼っておくのがポイントです。衣替えの際は、ボックスを入れ替えるだけで済むので非常に楽になります。
無印良品やIKEAの収納グッズ活用法
デザインがシンプルで機能的な無印良品やIKEAの収納グッズは、ウォークインクローゼットと相性抜群です。
- 無印良品「ポリプロピレン収納ケース」
サイズ展開が豊富で、半透明なので中身がうっすらと見えるのが便利です。奥行きが揃っているので、並べた時にすっきりと美しく見えます。 - IKEA「SKUBB/スクッブ」シリーズ
使わないときはコンパクトに折りたためる、布製の収納ボックスです。軽量で持ち手が付いているので、枕棚など高い場所への出し入れも簡単です。
ウォークインクローゼット間取りのQ&A
最後に、ウォークインクローゼットの間取りを考える際によくある質問にお答えします。
換気扇や窓は必要?湿気・カビ対策
答えは「YES」です。 ウォークインクローゼットは空気がこもりやすく、湿気によるカビや衣類へのダメージが心配されます。
- 小さな窓を設ける
自然光が入り、手軽に換気ができます。防犯面やプライバシーが気になる場合は、高い位置に滑り出し窓などを設置するのがおすすめです。 - 換気扇(24時間換気)を設置する
窓が設置できない場合は、換気扇が必須です。24時間換気システムの換気ルートに組み込んでもらうと良いでしょう。 - 調湿効果のある壁材を使う
珪藻土やエコカラットなど、湿度を調整してくれる機能性壁材を採用するのも効果的です。
最適な照明の種類と配置
「WICの照明は、衣類の色が正確に見えること」が重要です。
- 照明の色
太陽光に近い自然な色合いの「昼白色」がおすすめです。オレンジがかった「電球色」は、服の色が実際と違って見えることがあるため注意が必要です。 - 照明の種類と配置
部屋全体を均一に照らせるダウンライトが一般的です。人が立った時に自分の影で手元が暗くならないよう、通路の真上や、棚の手前側に配置するのがポイントです。人感センサー付きの照明にすると、スイッチ操作が不要で便利です。
扉は引き戸と開き戸どっちがいい?
それぞれにメリット・デメリットがあります。設置場所や使い方に合わせて選びましょう。
- 引き戸
扉を開閉するためのスペースが不要なため、廊下や寝室が狭くても設置しやすいのがメリットです。ただし、壁の中に扉を引き込むスペースが必要です。 - 開き戸
気密性が高く、ホコリが入りにくいのがメリットです。扉の裏側にフックやミラーを取り付けることもできます。ただし、扉の開閉スペースが必要になります。
書斎や部屋として使う際の注意点
ウォークインクローゼットを書斎など他の用途で使う場合は、以下の点に注意が必要です。
- コンセントの設置
PCやデスクライト、スマートフォンの充電用に、コンセントは必須です。デスクを置く場所を決めて、計画的に配置しましょう。 - 十分な広さの確保
収納スペースに加えて、デスクと椅子を置いても窮屈にならない広さが必要です。最低でも3畳、快適に使うなら4畳以上あると良いでしょう。 - 空調と換気
長時間を過ごす空間になるため、換気はもちろん、夏や冬も快適に過ごせるよう、エアコンの風が届くかどうかも確認しておきましょう。
まとめ
後悔しないウォークインクローゼットの間取り作りは、「自分たちの持ち物量と使い方を正しく把握すること」から始まります。
この記事でご紹介したポイントを、ぜひ家づくりの参考にしてください。
- 基本寸法を死守する
通路幅は最低60cm、ハンガー奥行きは60cmを確保しましょう。 - 畳数ごとの特徴を理解する
夫婦なら2畳、ファミリーなら3畳、多機能に使うなら4畳以上が目安です。 - ライフスタイルに合ったレイアウトを選ぶ
スペースと収納量のバランスを見て、I字・L字・コの字から選びましょう。 - 湿気と照明の対策を忘れない
換気扇や窓の設置、照明の色や位置にも配慮が必要です。
この記事が、あなたの理想のウォークインクローゼットを実現するための一助となれば幸いです。設計士さんや住宅メーカーの担当者とよく相談しながら、あなただけの最高の収納空間を作り上げてください。
