ウォークインクローゼットで後悔しない!間取りと収納の全知識

「注文住宅を建てるなら、絶対ウォークインクローゼットが欲しい!」
「今の家の収納がごちゃごちゃだから、次はスッキリさせたい…」

マイホームを考えるとき、多くの人が憧れるウォークインクローゼット。雑誌やSNSで見るような、広々としておしゃれな収納スペースは魅力的ですよね。

しかし、その一方で「作ってみたけど意外と使いにくい」「スペースがもったいなかったかも…」と後悔する声があるのも事実です。

この記事では、ウォークインクローゼットの導入を検討しているあなたが後悔しないために、知っておくべき全ての情報をまとめました。基本的な知識から、広さ別の間取り、おしゃれで機能的な収納術まで、プロの視点で徹底解説します。

この記事を読めば、あなたのライフスタイルにぴったりのウォークインクローゼットを実現するためのヒントがきっと見つかるはずです。

ウォークインクローゼットの基本知識

まずは「ウォークインクローゼットって、そもそも何?」という基本的な疑問から解決していきましょう。通常のクローゼットとの違いや、似ているようで異なる「ウォークスルータイプ」についても解説します。

ウォークインクローゼットの定義とは

ウォークインクローゼット(WIC)とは、その名の通り「人が中に入って歩ける(Walk-in)」広さを持つ収納スペースのことです。 一般的には2畳以上の広さがあるものを指すことが多く、衣類だけでなく、バッグやスーツケース、季節家電などもまとめて収納できるのが特徴です。

単なる収納スペースとしてだけでなく、中で着替えをしたり、コーディネートを考えたりする空間としても利用できます。間取り図では「WIC」と表記されることがほとんどです。

クローゼットとの違いを比較

では、一般的なクローゼットとは具体的に何が違うのでしょうか。それぞれの特徴を比較してみましょう。

比較項目ウォークインクローゼットクローゼット
定義人が歩ける広さの収納室奥行きの浅い収納スペース
広さの目安2畳以上0.5畳~1.5畳程度
収納力非常に高い比較的限定的
メリット・大きな物も収納できる
・中で着替えができる
・衣類を一元管理できる
・省スペースで設置できる
・どこに何があるか一目でわかる
デメリット・広い面積が必要
・通路分のデッドスペースができる
・湿気やホコリがたまりやすい
・大きな物は収納しにくい
・収納量が限られる

大きな違いは「人が入れるかどうか」です。 どちらが良い・悪いということではなく、収納したい物の量や種類、確保できるスペースによって最適な選択は変わります。

ウォークスルータイプとの違い

最近ではウォークスルークローゼット(WTC)というタイプも人気です。これは、クローゼットに出入口が2つあり、通り抜けができる間取りのことを指します。間取り図では「WTC」と表記されます。

例えば、「寝室 → ウォークスルークローゼット → 洗面脱衣室」といった動線を作れば、朝の身支度が非常にスムーズになります。

  • ウォークインクローゼット
    収納が目的の「部屋」
  • ウォークスルークローゼット
    収納+動線の役割を持つ「通路」

生活動線を重視するならウォークスルータイプも有力な選択肢になりますので、ぜひ覚えておきましょう。

メリット・デメリットと失敗しないコツ

憧れのウォークインクローゼットですが、メリットばかりではありません。デメリットと対策をしっかり理解しておくことが、後悔しないための重要な鍵となります。

ウォークインクローゼットのメリット

まずは、ウォークインクローゼットが持つ魅力的なメリットを見ていきましょう。

  • 圧倒的な収納力
    衣類はもちろん、布団、スーツケース、ゴルフバッグ、季節家電など、かさばる物をまとめて収納できます。 部屋に余計な収納家具を置かずに済むため、居住空間がスッキリします。
  • 中で着替えができる
    独立した空間なので、中で着替えができます。姿見(鏡)を置けば、その場でコーディネートをチェックすることも可能です。来客時に着替えを見られる心配もありません。
  • 衣類や持ち物を一覧できる
    全ての衣類や小物を一か所に集約できるため、どこに何があるか把握しやすくなります。 季節ごとの衣替えも、ハンガーパイプにかかった服を左右に移動させるだけで済むなど、手間が大幅に削減できます。
  • 書斎など多目的に使える
    広さに余裕があれば、小さなデスクを置いて書斎や趣味のスペースとして活用することも可能です。自分だけの「隠れ家」のような空間が手に入ります。

ウォークインクローゼットのデメリットと対策

次に、知っておくべきデメリットと、その対策をセットで解説します。

  • 湿気やホコリがたまりやすい
    窓がないことが多く空気が滞留しやすいため、湿気やホコリがたまりがちです。
    • 対策: 換気扇を設置する、除湿器や除湿剤を置く、定期的に扉を開けて換気するなどの工夫が必要です。床にすのこを敷くのも効果的です。
  • 広い設置スペースが必要
    最低でも2畳程度のスペースが必要になるため、その分、寝室やリビングなどの居住空間が狭くなる可能性があります。
    • 対策: 本当にウォークインクローゼットが必要か、自分たちの持ち物の量を把握した上で検討しましょう。 場合によっては、壁一面のクローゼットの方が効率的なこともあります。
  • 通路分のデッドスペースが生まれる
    人が歩くための通路スペースが必要になるため、同じ面積のクローゼットと比較すると、収納効率が落ちる場合があります。
    • 対策: 通路幅を適切に設定し(後述)、棚のレイアウトを工夫することで、デッドスペースを最小限に抑えることができます。

よくある失敗・後悔事例

実際にウォークインクローゼットを作った人が感じた「失敗・後悔」の声を参考に、対策を考えてみましょう。

  • 「暗くて物が見つけにくい…」
    照明が入り口に一つだけだと、奥の方が暗くて色やデザインがよく見えません。
    • 対策: 人感センサー付きのダウンライトや、棚を照らせるバータイプの照明を設置するのがおすすめです。
  • 「通路が狭くて使いにくい!」
    収納量を優先して棚を詰め込んだ結果、人がすれ違えなかったり、荷物を持ったまま入れなかったりするケースです。
    • 対策: 人が一人通るのに最低でも60cmの通路幅を確保するように設計しましょう。
  • 「コンセントを作ればよかった…」
    除湿器やアイロン、充電式の掃除機などを使いたいときにコンセントがないと不便です。
    • 対策: 将来的な用途も考え、最低1〜2箇所のコンセントを設置しておくと非常に便利です。

広さ別の間取りと必要な寸法

「うちには、どのくらいの広さが必要なんだろう?」と悩む方も多いはず。ここでは、使いやすさを左右する寸法と、広さ別の間取り例をご紹介します。

使いやすい通路幅と棚の寸法

ウォークインクローゼットの使い勝手は、通路幅と棚の寸法で決まると言っても過言ではありません。以下の数値を基準に計画しましょう。

  • 通路幅
    最低でも60cmは確保しましょう。 理想は75cm〜90cmあると、荷物を持っていても余裕をもって通れます。
  • ハンガーパイプの奥行き
    ハンガーにかけた衣類の幅を考慮し、壁から55cm〜60cmの奥行きが必要です。
  • ハンガーパイプの高さ
    かける衣類の種類によって調整します。
    • コート・ワンピース用: 床から160cm以上
    • ジャケット・シャツ用: 床から90cm〜100cm
    • 上下2段にする場合: 上段は180cm前後、下段は90cm前後に設置すると効率的です。
  • 棚の奥行き
    バッグや畳んだ衣類を置く棚は、奥行き30cm〜45cmが一般的です。

1畳・2畳の間取りと収納例

コンパクトなウォークインクローゼットの代表例です。

  • 1畳
    通路を確保すると収納スペースは片側のみ(I型)になります。収納力は限定的ですが、通常のクローゼットよりは奥行きがあるため、手前に衣装ケースなどを置くことができます。
  • 2畳
    最も一般的な広さです。通路の両側に収納を設ける「I型(両側)」や、片側の壁と奥の壁を使う「L型」レイアウトが可能です。夫婦2人分の普段着なら十分に収納できるでしょう。2畳のスペースがあれば、収納力と使い勝手のバランスが良くなります。

3畳・4畳以上の間取りと収納例

家族全員の衣類をまとめたい場合や、多くの持ち物を収納したい場合に適しています。

  • 3畳
    収納力が最も高い「コの字型」レイアウトが可能になります。 夫婦2人分の衣類に加えて、季節家電や来客用の布団なども収納できる余裕が生まれます。中央にスペースが取れるので、アイランドカウンターを置いたり、姿見を置いて着替えスペースとして充実させたりすることもできます。
  • 4畳以上
    衣類だけでなく、書斎や趣味のスペースを兼ねることも可能な広さです。収納方法の自由度が格段に上がり、まさに「部屋」として活用できます。 ただし、その分居住スペースを圧迫するため、家全体のバランスを考えて計画することが重要です。

タイプ別の棚レイアウトと特徴

ウォークインクローゼットの収納力と使いやすさは、棚のレイアウトによって大きく変わります。代表的な3つのタイプの特徴を理解し、自分に合った形を選びましょう。

I型レイアウトの特徴と活用法

片側、または向かい合う両側の壁に収納を設ける、最もシンプルなレイアウトです。

  • メリット
    通路を広く確保でき、デッドスペースが生まれないため、1畳〜2畳の比較的狭いスペースでも効率的に使えます。
  • デメリット
    収納力はL型やコの字型に比べて劣ります。
  • 活用法
    通路の幅をしっかり確保できるので、ベビーカーやスーツケースなど、大きなものを床に置きたい場合に適しています。

L型レイアウトの特徴と角の使い方

入口から見て、片側の壁と奥の壁の2面を使ってL字型に収納を設けるレイアウトです。

  • メリット
    I型よりも収納力がアップし、2畳程度のスペースで効率よく収納量を確保できます。
  • デメリット
    角の部分がデッドスペースになりやすいのが難点です。
  • 角の使い方
    角の部分には、使用頻度の低いスーツケースや季節家電を置くのがおすすめです。 また、L字型のコーナーラックを設置したり、バッグや帽子を吊るして「見せる収納」スペースとして活用したりするのも良いでしょう。

コの字型レイアウトとデッドスペース対策

両側の壁と奥の壁、3面を使ってコの字型に収納を設けるレイアウトです。

  • メリット
    3つのタイプの中で最も収納力が高いのが特徴です。 3畳以上の広さがあれば、家族全員の衣類や持ち物を一元管理することも可能です。
  • デメリット
    角が2ヶ所できるため、デッドスペース対策がより重要になります。また、ある程度の広さがないと、通路が狭くなり圧迫感が出てしまいます。
  • デッドスペース対策
    L型と同様に、角には使用頻度の低いものを置くのが基本です。 ハンガーパイプを角で繋げず、それぞれの壁で独立させ、角の部分は棚板を設置すると、畳んだ衣類や小物を効率的に収納できます。

おしゃれで機能的な収納術とアイデア

せっかくのウォークインクローゼット、ただ詰め込むだけではもったいないですよね。ここでは、スペースを最大限に活用し、見た目もおしゃれに保つための収納術をご紹介します。

ハンガーパイプの活用術

ハンガーパイプは衣類収納の主役です。

  • 衣類の丈に合わせてパイプを2段にする
    ジャケットやシャツなど丈の短い衣類が多い場合は、ハンガーパイプを上下2段に設置すると収納力が倍増します。
  • ハンガーの種類を揃える
    ハンガーのデザインや色を統一するだけで、見た目に統一感が出て一気にスッキリした印象になります。
  • S字フックを活用する
    S字フックを使えば、ベルトやスカーフ、帽子などを手軽に吊るして収納できます。

引き出し・ボックスを使った隠す収納

ごちゃごちゃしがちな小物は、引き出しやボックスを使って「隠す収納」を徹底しましょう。

  • 収納ケースの色や形を統一する
    ハンガーと同様に、収納ケースも同じシリーズで揃えるのがおすすめです。見た目が整然とし、どこに何があるか把握しやすくなります。
  • ラベリングを徹底する
    中身が見えないボックスには、必ずラベルを貼りましょう。「靴下」「冬物インナー」など、何が入っているか一目でわかるようにしておくことが、リバウンドしないコツです。

バッグや帽子の見せる収納

お気に入りのバッグや帽子は、型崩れしないように「見せる収納」を楽しみましょう。

  • 棚に立てて収納する
    バッグは平置きせず、ブックスタンドなどを使って立てて収納すると、型崩れを防ぎ、取り出しやすくなります。
  • フックや有孔ボードを活用する
    壁面にフックや有孔ボードを取り付ければ、帽子やアクセサリーをおしゃれに飾りながら収納できます。

デッドスペースを活かす収納アイデア

ウォークインクローゼットには、意外とデッドスペースが潜んでいます。

  • 扉の裏側を活用する
    扉の裏にフックや薄型のラックを取り付ければ、ネクタイやスカーフ、アクセサリーなどの小物収納に早変わりします。
  • キャスター付きの収納アイテムを使う
    ハンガーパイプの下など、奥まっていて手が届きにくいスペースには、キャスター付きのワゴンや収納ケースが便利です。 掃除の際も簡単に移動できます。

後付けできる棚の選び方

「収納が足りない」「もっと使いやすくしたい」と感じたら、棚を後付けするのも一つの手です。

  • 可動棚(かどうだな)を選ぶ
    棚の高さを自由に変えられる可動棚は、収納する物に合わせて調整できるため非常に便利です。 壁にレールを取り付けて、好きな位置に棚板を設置します。
  • DIYか業者に依頼か
    簡単な棚の取り付けであればDIYも可能ですが、壁の下地探しや強度に不安がある場合は、無理せずリフォーム業者や専門の職人さんに依頼しましょう。

まとめ

今回は、ウォークインクローゼットで後悔しないための知識を網羅的に解説しました。最後に、重要なポイントを振り返りましょう。

  • ウォークインクローゼットは「人が歩ける収納部屋」のこと。
  • メリットだけでなく、湿気やスペースの問題といったデメリットと対策も理解しておく。
  • 使いやすい通路幅は最低60cm、棚の寸法も計画的に決めることが重要。
  • 広さ(1畳〜4畳以上)とレイアウト(I型・L型・コの字型)を組み合わせ、自分の持ち物に合った形を選ぶ。
  • 収納グッズやアイデアを活用し、「隠す収納」と「見せる収納」を使い分ける。

ウォークインクローゼットは、計画が9割と言っても過言ではありません。自分たちのライフスタイルや持ち物の量をしっかりと見極め、どこに、どのくらいの広さで、どんな形のウォークインクローゼットを作るのかをじっくり検討することが、成功への一番の近道です。

この記事が、あなたの理想の家づくりのお役に立てれば幸いです。

この記事の担当:

豊栄建設家づくり編集部

家づくりのヒントや住まいの最新情報を分かりやすくご紹介。皆さまの理想の住まいづくりにお役立てください。

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