“引き算式”で、念願のヌックやアールの下がり壁などを取り入れた海外風住宅
家を建てると決めたその時から、さまざまな選択肢が目の前に並びます。
土地をどこにするか、どこの住宅メーカーにするか、どんなテイストの家にするかなど。その中で特に施主様を悩ませるのが希望する暮らし方を実現するために“優先すべきもの”は何かを選ぶことだと思います。
過去に設計担当による『迷わない!“理想の家をつくるコツ”』でもお伝えしましたが、とにかく優先順位をつけることが大切。
そのお手本となるのが、今回ご紹介するI様。数あるご要望を“引き算式”で取捨選択していき、隅々までこだわりを詰め込んだ海外風の住宅を実現されました。新居を拝見しながら、引き算方式とは何か、どのような判断基準で引き算していったのかなどを詳しくうかがってきました。
Q:お家を拝見して真っ先に思ったのは「広い!」という事。どれくらいの面積ですか?
「敷地面積は102坪(約337㎡)で、建築面積は40坪(約132㎡)です」とご主人。
家を建てるにあたって、土地が広いことはI様ご夫婦にとって外せないこだわりの一つでした。その理由は、ご夫婦の家族である2匹のワンちゃん。
「庭に広いドッグランをつくりたかったのと、家の中でもおもいっきり犬が走れるよう、縦長のつくりにしたかったからです」と奥様。
確かに完成した家は、縦長です。
玄関からリビング入口までのアプローチも。浴室からUT、パントリー、キッチンへの直線動線も。
2階の洗面所から寝室の入口までの廊下も。
小型犬でしたら、この広さがあれば家の中でも十分に遊べます。加えて、今年の夏から着工する予定のドッグランが完成すれば、散歩を日課にする必要はなくなるかもしれません。
住むなら、ご主人と奥様のお勤め先の中間地点である千歳市と決めており、タイミングよく千歳市から売りに出ている広い土地が見つかり即決されたそうです。
Q:豊栄建設を選んだのはなぜですか?
「3年前に実家が違う住宅メーカーさんで家を建て、1年前には知人が豊栄さんで家を建てました。それぞれの話を聞いた中で、予算内で自分たちのやりたいことが叶うのは豊栄さんかなと思ったからです」
実際に豊栄建設で家を建てた知人の方の家を見に行ったり、本通モデルハウスなどをご覧になり、自由設計であること、細かく予算の調整をしながら住みたい家を実現できるといった話を聞いて気持ちを固めていったとのこと。
「あと、ハウジングラボ サッポロに行けば、現物をまとめて見られるのがよかったです。いろいろなショールームに行くとなると大変だったと思うので、それも決め手になりました」
Q:実際、家づくりが始まって。さまざまなご要望がある中で、どのように優先順位を決めていきましたか?
「“引き算式”で決めていきました」
と奥様。
最初にやりたいことを全部伝え、そこで一度予算を出してもらい、それと実際のご予算を照らし合わせて、削るというもの。
Q:とはいえ、どれも捨てがたかったと思います。何を判断基準に削っていったのですか?
「家が完成した後からでも付け足せるもの、入れ替えられるもの、いつか経年劣化でリフォームしたときに修理・修繕できるものはどんどん削っていきました」
例えば…
・トイレは当初、タンクレスをご希望でしたが”リフォームした際に入れ替えられる”と判断し標準仕様のタンク有りに。
・ガス乾燥機の乾太くんも、ワンランク上のものを考えていましたが、後に買い替えられると判断しスタンダードタイプに。
・海外風の家がお好みだったので室内全体をカラークロスにしたい!というのも今はやめて、貼り替え時期が来たときの楽しみにされたそうです。
そして完成したのが、こちらです。
白やベージュ、グレージュでまとめた優しい雰囲気で、窓からの注ぐ自然光が柔らかく照り返し、とても明るい。長い月日が経とうとも、飽きのこない仕上がりとなりました。
Q:では逆に、引き算はしなかった、こだわったポイントを教えてください
「どうしても外せなかったのは、ヌックです」と奥様。
ヌックとは、居室の一角につくられる居心地のいい小規模の部屋のことで、どこか隠れ家のようなたたずまい。海外では主流で、奥様は過去に2回、オーストラリアへ留学された経験があり、そのときにヌックを知り、家を建てるなら採用したいと思っていたそうです。
ヌックをつけた理由はほかにもありました。
奥様は保育士をされており、大学での学びから、将来、お子さまが生まれたとき、読書や遊びに集中できる空間があるほうがいいという考えからでした。
「そうすることで、子どもの集中力を養えると勉強しました」
加えて、庭を眺められる大きな窓を設けたことで、四季の移ろいや植物の美しさにも触れられ、情操教育にもつながります。
ヌックはキッチンから目が届く場所にあるので、家事をしながらでも安心して遊ばせられるのも魅力。
お子さまのために設けたものが、もう一つあります。
それはキッチン・ダイニングスペースに置いたカウンター。
ここは将来、お子さまのスタディスペースとして活用するそう。それまではご夫婦のパソコンスペースとして使う予定です。マグネット壁になっているので、メモ類を貼り付けられるのが便利です。
次にキッチン。
タカラスタンダード「オフェリア」を採用しました。
ワークトップはソリッドベージュ、キッチンパネルはマイルドホワイトです。
このシステムキッチンを選んだのは、兼ねてより導入したかった海外製の食洗機を入れたかったためだそう。しかし、ここに一つのドラマがあったのです。
「家を建てるなら、キッチンには大容量で洗浄力のある海外製の食洗機を入れたいと考えていました。ドイツ製のミーレです。しかし、コロナの影響で入荷が間に合わないと言われました。もう一つ候補としてボッシュも考えていましたが、どちらも入荷日が未定で、届くまで待ったとしてもそれまでずっとキッチン下が空いたままですよ、と。そこで豊栄の担当者さんが違うメーカーを探してくれました。それがもともと希望していたミーレやボッシュと同じドイツ製のガゲナウでした。そして、ガゲナウの食洗器が入るシステムキッチンがタカラスタンダードだったんです」
運よく国内に在庫があり、竣工に間に合いました。
また、当初、システムキッチンのダイニングテーブルに面した側にコンセントは付けられないとのことでしたが、担当者がメーカー側に問い合わせたところ、付けられることが判明。
「担当者さんに調べていただけなかったらガゲナウのことも、コンセントが付けられることも知らないままでいたと思います。私たちの願いが叶うよう尽力していただいたおかげで、快適な生活を送れています」と奥様。
ドラマの主役となった食洗機。
フル活用されているのは、言わずもがなです。
ほかにも、三和土からも、玄関ホールからもアクセスできる土間収納
アールの下がり壁
間接照明を施したリビングなど
こだわりたいところをとことん盛り込みました。
Q:ところで、ご主人のこだわりは?
「2階のシアタールームです」
事前に図面を拝見した時、(収納がない…他の部屋よりも少し小さい…ここはどんな用途で利用されているのだろう)と気になっていた場所。そこがご主人のシアタールームでした。
シアタールームは、ダークカラーのクロスにして映画館のような暗さに。投影面には映像がきれいに映る壁紙を採用しました。プロジェクターは最近とても人気のポップインアラジン(popIn Aladdin)にし、壁の幅いっぱいに投影されるようプロジェクターと壁との距離、コンセントの位置などを綿密に調整したのだそうです。
「仕事から帰って、夕飯を食べて一息ついたら、二人でシアタールームに行き、映画を観ながらお酒を飲むのが楽しみになっています」
Q:新居で暮らして、改めて思う豊栄建設で建てて良かったと思うところは?
「自由度の高いところと、担当者さんが熱心に私たちの希望を叶えるために動いていただけたところです」と奥様。
希望どおりにならない事態が起きても、納得のいく代替案が見つかるまで調べてくれたり、誤魔化すことなく向き合って説明してくれたりと、その対応に誠意を感じたとI様ご夫妻は言います。特に、予定どおり完成したことも感謝したいとのこと。
今回のコロナにより、木材の供給不足が起こり家を建てられない状況になった人が多いと聞きます。
I様も完成は2022年2、3月になるかもしれない状況でしたが、予定どおり2021年12月にお引き渡しすることができました。これは、年間棟数300棟以上という実績によるもので、木材メーカーと信頼関係を築いている証です。
「もし今年の2月や3月になっていたら、職場の研修と引っ越しが重なっていました。その中で日々の生活を送りながら、荷物を片づけたり、各種手続きで奔走するのは無理だと思ったので、どうしても12月に間に合わせてほしいとお願いしました。その約束を守っていただけたので、新居に引っ越してきてからも自分のペースで片付けができ、助かりました。本当にありがとうございました」

ヌックの前にピアノスペースを設置しました。将来、お子さまが生まれたらピアノを弾いてほしいと思っているそう。奥様もたまに弾くことがあるとか!

ユーティリティにはマルチシンクを設けました。「とにかく汚れたものをつけ置きしたかったので。男の子が生まれて野球をやるようになったらと考えたら、あったほうがいいと思いました」

▲1階ユーティリティ
洗面所は1階にも2階にもあります。

▲2階のトイレ前
ご家族が増えても、朝の支度で洗面台の取り合いになることはありません。

寝室にはダブルベッドを2台。両サイドの隙間がほぼないジャストサイズでとのご要望でした。この広さがあれば、ご家族全員(ワンちゃんも含め)一緒に眠ることができます。